金融庁・経済産業省・環境省は、本年2月、グローバルに展開する民間金融機関10社とともに、「官民でトランジション・ファイナンスを推進するためのファイナンスド・エミッションに関するサブワーキング」を立ち上げ、ファイナンスド・エミッションに関する基本的な考え方や算定・開示方法の具体的なあり方について、継続して議論を行ってきた。
官民でトランジション・ファイナンスを推進するためのファイナンスド・エミッションに関するサブワーキングにおいて、「ファイナンスド・エミッションの課題解決に向けた考え方について」を取りまとめ、公表した。
2050年カーボンニュートラルの実現のためには、一足飛びに脱炭素が困難な産業(Hard-to-abate産業)の移行にかかる取組に対する資金供給、すなわち「トランジション・ファイナンス」が不可欠。日本では、トランジション・ファイナンスに関する基本指針の策定、分野別技術ロードマップの策定、モデル事例創出支援等、世界に先駆けて、トランジション・ファイナンスの活用促進に向けた環境整備を行ってきた。
主要な金融機関が賛同しているGFANZ等の国際的な金融アライアンスにおいては、投融資先の排出量(ファイナンスド・エミッション)を含めて金融機関自身の排出量をネットゼロにする野心的な目標を求められており、一部の金融機関では、Hard-to-abate産業への資金供給によって一時的にファイナンスド・エミッションが増加する可能性を懸念し、Hard-to-abate産業に対する投融資を控える行動が生じ得るという課題がある。
こうした問題意識のもと、本年2月、経済産業省・金融庁・環境省は、グローバルに展開する金融機関等から10名の委員(別紙参照)で構成される「官民でトランジション・ファイナンスを推進するためのファイナンスド・エミッションに関するサブワーキング」を、トランジション・ファイナンス環境整備検討会の下に設置した。
サブワーキングにおいて、上記課題に対して、ファイナンスド・エミッションの具体的な算定・開示のあり方や、ファイナンスド・エミッション以外の指標の活用等、考えられるソリューションを検討・議論し、今回、「ファイナンスド・エミッションにかかる課題解決に向けた考え方」として取りまとめた。
本文書では、カーボンニュートラル達成に向けて金融機関に期待される役割とファイナンスド・エミッションの特性について整理した上で、脱炭素に向けたイノベーションやHard-to-abate産業のトランジションに向けた資金供給が適切に評価され促進されるよう、ファイナンスド・エミッションの課題に対するソリューション案を①ファイナンスド・エミッションの算定・開示手法、②「ファイナンスド・エミッション以外の指標の開示手法の2つに分類して整理、提示している。
(別紙2)