鹿児島相互信用金庫は、平成 17 年 4 月から平成 29 年 3 月の間に発生していた同金庫職員による複数の不祥事件(下記(1)~(3)の 3 件)が、平成 29 年 8 月の当局への情報提供をきっかけとした内部調査により発覚、公表した。
これらの不祥事件はいずれも法令に基づく当局への届出をしていなかった。さらに、平成 29 年 10 月に実施した職員アンケートにおいて複数の不祥事件をほのめかす情報が寄せられており、現在も継続して事実関係の調査を行っているとのこと。
不祥事件の概要(3 件)
(1)平成 29 年 8 月 25 日に発覚した不祥事件は、同金庫職員(男性)が平成 18 年 9 月から平成 22 年 3 月にかけ坂元支店、高山支店、高見馬場支店の 3 店舗において不正行為を行っていた。
坂元支店においては、平成 18 年 9 月から 12 月にかけ顧客から預かった定期積金掛込金の着服を行っていた。
高山支店においては、平成 19 年 4 月から平成 20 年 12 月にかけ定期積金掛込金の着服および定期預金解約金の着服を行っていた。
高見馬場支店においては、平成 21 年 5 月から平成 22 年 3 月にかけ定期積金掛込金の着服を繰り返していた。
本事案における被害額は坂元支店が 55 千円(2 口座)、高山支店が 4,914 千円(43 口座)、高見馬場支店が 476 千円(25 口座)、総額 5,445 千円であり、いずれも事故者の生活費や遊興費に使われていた。
(2)平成 29 年 8 月 30 日に発覚した不祥事件は、同金庫職員(男性)が平成 17 年 4 月から平成 29 年 3 月にかけ谷山港支店、城北支店、西長島支店、本店営業部の 3 店舗 1 営業部において不正行為を行っていたもの。
谷山港支店においては、平成 17 年 4 月から 7 月にかけ顧客から解約のために預かったカードローンを解約せず不正利用を繰り返し、270 千円の着服を行っていた。
城北支店、西長島支店、本店営業部においては、平成 22 年 3 月から平成 29 年 3 月にかけ、取引先等から構成される外部団体の預金を、預金管理者の立場を利用し不正に払い出し、3,322 千円(4口座)の着服を行っていた。なお、西長島支店においては、当時懇意にしていた取引先に依頼し、実際とは異なる資金使途で融資を実行したうえで、同取引先から融資金を受領するなど、自己の利益を図る目的で 1,500 千円の不正融資を併せて行っていた。
本事案における被害額は谷山港支店が 270 千円(1 口座)、城北支店が 340 千円(2 口座)、西長島支店が 4,100 千円(2 口座)、本店営業部が 382 千円(1 口座)、総額 5,092千円であり、いずれも事故者自らの借入金返済や遊興費に使われていた。
(3)平成 29 年 10 月 6 日に発覚した不祥事件は、同金庫元職員(男性)が平成 22 年 4 月から平成 26 年 5 月にかけ大根占支店、川辺支店の 2 店舗において不正行為を行っていたもの。
大根占支店においては、平成 22 年 4 月から平成 26 年 4 月にかけ 2 名の顧客に対して 3,500 千円の消費者ローンを申し込ませ、ローン実行額を当該顧客まから借り入れる手口で着服を行っていた。
川辺支店においては、平成 23 年 7 月から平成 26 年 5 月にかけ複数のお顧客(19 顧客)に対して 28,348 千円の消費者ローンやカードローンを申し込ませ、ローン実行額を当該顧客から借り入れる等の手口で着服を行っていた。さらに、同支店において融資返済金として 2 名の顧客から預かった現金 7,000 千円を融資返済へ充当せず着服を行っていた。
本事案における被害額は大根占支店が 3,500 千円(2 口座)、川辺支店が 35,348 千円(22口座)、総額 38,848 千円であり、いずれも事故者自らの借入金の返済や遊興費に使われていた。
同金庫は、今回の不祥事件の発生原因や未届に至った経緯を含め、事件の全容解明と再発防止策ならびに責任の所在等について、外部専門家である井上順夫弁護士、松下良成弁護士、中崎隆穂公認会計士の 3 名による「第三者委員会」を立ち上げ、調査・検証を行う。